コラム
注文住宅の諸費用 内訳のすべて/費用一覧と相場、節約のコツまで徹底解説
2025.03.14

「諸費用の相場はどれくらい?」「具体的にどんな費用がかかるの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
注文住宅を建てる際、建築費だけでなく「諸費用」も必要です。土地購入費やローン契約費用、税金・保険料などが発生し、把握せずに進めると予算オーバーのリスクがあります。
本記事では、注文住宅の諸費用を完全解説し、内訳や相場、節約のポイントまで詳しくご紹介します。
本記事で解説するポイント
- ・注文住宅にかかる諸費用の種類と割合
- ・土地購入・建築工事・住宅ローン契約・税金関連の費用詳細
- ・諸費用の相場と見積もりの考え方
- ・諸費用を抑えるための具体的な方法
注文住宅の諸費用は、事前にしっかり把握すればコスト調整が可能です。ぜひ最後までご覧いただき、賢く資金計画を立てましょう!
目次
注文住宅の諸費用の相場

注文住宅の諸費用は、建築費総額の約10%~15%を占めることが一般的です。例えば、総額3,000万円の注文住宅なら、約300万円~450万円の諸費用が必要になります。
費用の種類 | 相場の目安(円) |
---|---|
土地購入時の費用 | 50万円~200万円 |
建物工事時の費用 | 100万円~300万円 |
住宅ローン契約時の費用 | 30万円~100万円 |
税金・保険関連の費用 | 50万円~150万円 |
土地の有無や建築会社の選定によっても変動するため、具体的な見積もりを事前に確認しましょう。
土地購入時の諸費用

仲介手数料
土地の売買を不動産会社が仲介した場合に発生する手数料です。
仲介手数料の上限は、(土地価格 × 3% + 6万円)+ 消費税 で決まっています。
例:2,000万円の土地を購入する場合
土地価格 | 計算式 | 仲介手数料(税別) |
---|---|---|
1,000万円 | (1,000万円 × 3% + 6万円) | 36万円 |
2,000万円 | (2,000万円 × 3% + 6万円) | 66万円 |
3,000万円 | (3,000万円 × 3% + 6万円) | 96万円 |
売主が不動産会社の場合、仲介手数料がかからないケースもあるため、事前に確認しましょう。なお、計算する場合は、消費税10%を上乗せしてください。
登記費用(登録免許税 + 司法書士報酬)

土地の所有権を正式に登録するために必要な費用です。主に以下の2つの登記費用が発生します。
登記費用の計算方法
登記の種類 | 計算式 | 費用の目安 |
---|---|---|
所有権移転登記 | 固定資産税評価額 × 1.5%(軽減措置あり) | 約15万~30万円 |
抵当権設定登記 | 借入額 × 0.4% | 約5万~15万円 |
計算例:
固定資産税評価額1,500万円、ローン借入額2,500万円の場合
項目 | 計算式 | 費用 |
---|---|---|
所有権移転登記 | 1,500万円 × 1.5% | 22.5万円 |
抵当権設定登記 | 2,500万円 × 0.4% | 10万円 |
司法書士報酬 | 5万~10万円 | 5万~10万円 |
合計 | – | 37.5万~42.5万円 |
司法書士へ依頼するのが一般的で、報酬は5万~10万円が相場です。事前に見積もりを確認しましょう。
不動産取得税

土地を購入すると、後日 都道府県から課税 される税金です。購入時にすぐ支払うものではなく、取得から数ヶ月後 に納付通知書が届きます。
不動産取得税の計算方法
計算式 | 税率(通常) | 税率(軽減措置適用時) |
---|---|---|
固定資産税評価額 × 3% | 3% | 軽減措置あり(条件による) |
計算例:
固定資産税評価額 | 通常の税額 | 軽減措置適用時 |
---|---|---|
1,500万円 | 1,500万円 × 3% = 45万円 | 軽減措置により減額の可能性あり |
軽減措置の適用条件
- ・宅用地の場合:税額が 最大1/2に減額
- ・新築住宅を建てる場合:さらに追加の軽減措置あり
納付時期
取得から数ヶ月後 に納付通知書が届くため、事前に準備しておきましょう。
印紙税
土地の売買契約書に貼付する税金で、契約金額に応じて決まります。取引時に印紙を購入し、契約書に貼付することで納付します。
印紙税の税額表(令和6年3月31日までの軽減措置適用)
契約金額 | 印紙税額(軽減後) |
---|---|
100万円超~500万円以下 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 3万円 |
計算例:
契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
3,000万円 | 1万円 |
電子契約の場合、電子契約を利用すると印紙税が不要になることもあります。不動産会社に事前に確認しましょう。
注文住宅の建物工事にかかる諸費用

注文住宅の建築では、建物本体の工事費以外にもさまざまな諸費用が発生します。これらは安全な住環境を確保し、法的基準を満たすために不可欠な費用です。
具体的には、以下のような費用が含まれます。
- ・設計監理費(設計・工事監理)
- ・地盤調査・改良費(地盤の強度確認)
- ・インフラ設備費用(水道・電気・ガスの引き込み)
- ・建築確認申請費用(建築基準法の適合審査)
事前に必要な諸費用を把握し、予算計画を立てることが重要です。ここでは、それぞれの費用の詳細と相場について解説します。
設計監理費
設計監理費とは、住宅の設計を行うだけでなく、工事が適切に進行しているかを管理する費用です。特に自由設計の注文住宅では、設計監理が重要な役割を果たします。
設計監理費の目安
設計内容 | 費用相場(税別) | 特徴 |
---|---|---|
ハウスメーカーの標準設計 | 工事費に含まれることが多い | 設計費が別途発生しないケースが多い |
建築士へ依頼する自由設計 | 工事費の5~10% | 例:3,000万円の住宅なら150万~300万円 |
設計費用の注意点
- ・ハウスメーカーでは設計費がパッケージ化されているため、追加費用がかかりにくい
- ・自由設計の場合、設計の自由度が高いが費用も増加
- ・施工業者と設計士を分ける場合、管理費用も発生する可能性がある
地盤調査・改良費

住宅を建てる際、土地の地盤の強度が十分でない場合、地盤補強工事が必要になります。事前に調査を行い、必要に応じて地盤改良を実施することで、安全な住まいを確保できます。
地盤調査の種類と費用
調査方法 | 内容 | 費用相場(税別) |
---|---|---|
スウェーデン式サウンディング試験 | 地盤の硬さを測定(一般住宅向け) | 3万~7万円 |
ボーリング調査 | 深い地盤の強度を確認。(大型建築向け) | 10万~30万円 |
注意点
- ・地盤調査は 必須。地盤が弱い場合、追加費用が発生する
- ・改良工事が不要なケースもあるため、早めの確認が重要
地盤改良工事の種類と費用
改良工法 | 内容 | 費用相場(税別) |
---|---|---|
表層改良工法 | 軟弱地盤を掘削し、固化材を混ぜて強化 | 10万~50万円 |
柱状改良工法 | 地中にコンクリート柱を形成し、強度を向上 | 50万~150万円 |
鋼管杭工法 | 金属製の杭を打ち込み、地盤を補強 | 100万~200万円 |
地盤改良のポイント
- ・調査結果次第で、改良工事が不要な場合もある
- ・必要な場合は追加コストが発生するため、早めに見積もりを確認
- ・改良工事によって、工期が長くなることもあるためスケジュール調整が重要
水道・電気・ガスの引き込み費用
土地に水道・電気・ガスの配管・配線 が整っていない場合、新たにインフラを引き込む工事が必要です。特に、新規開発地や郊外の土地では注意が必要になります。
引き込み費用の目安
項目 | 内容 | 費用相場(税別) |
---|---|---|
水道引き込み | 敷地内に水道管を敷設 | 20万~50万円 |
電気引き込み | 電柱・電線の設置 | 10万~30万円 |
ガス引き込み | 都市ガス配管の敷設 | 20万~60万円 |
知っておきたいポイント
- ・水道管やガス管が 敷地内にあるか事前に確認しておく
- ・オール電化を選択する場合、ガス引き込みは不要
- ・電柱の設置が必要な場合、追加費用が発生することも ある
建築確認申請費用
建築確認申請とは、建築基準法に適合した建物であるかを審査する手続きです。建築許可が下りなければ工事を進めることができません。
申請費用の目安
申請対象 | 費用相場(税別) |
---|---|
一般的な住宅(100㎡前後) | 5万~15万円 |
大規模な住宅(200㎡以上) | 10万~25万円 |
注意点
- ・建築士が代行するケースが多く、費用は設計料に含まれる場合あり
- ・建物の規模や仕様によって審査機関の手数料が変動
- ・認可が下りるまで1週間~1ヶ月かかるため、スケジュールに余裕を持つことが重要
注文住宅のローン契約時にかかる諸費用

注文住宅を建てる際、多くの方が住宅ローンを利用します。しかし、契約時には 融資手数料・保証料・団体信用生命保険料(団信) などの諸費用が発生します。
これらの費用を把握しておかないと、思わぬ負担が発生する可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
融資手数料
住宅ローンを借りる際に金融機関へ支払う手数料です。主に「定額型」と「定率型」の2種類があり、借入額や金融機関によって異なります。
融資手数料の種類と相場
手数料タイプ | 特徴 | 相場(税別) |
---|---|---|
定額型 | 一律で一定額が設定される | 3万~5万円 |
定率型 | 借入額に対し、一定の割合で決まる | 借入額の2.2%(例:3,000万円借入→66万円) |
注意点:
- ・定額型は初期費用を抑えられるが、金利が高めになることが多い
- ・定率型は金利が低く設定されることが多いが、初期費用が高くなる
- ・借入額が大きい場合は、定率型の手数料負担が大きくなるため要注意
ローン保証料

出典:全国保証株式会社(個人投資家向け会社説明会資料)
住宅ローンの返済が 滞った際の保証料 として、 保証会社に支払う費用です。金融機関によっては 「保証料なし」のプランを提供している場合もあります。
保証料の相場
借入期間 | 借入額 | 保証料の目安(税別) |
---|---|---|
35年ローン | 3,000万円 | 60万~70万円 |
20年ローン | 3,000万円 | 40万~50万円 |
知っておきたいポイント
- ・「保証料なし」プランは初期費用が抑えられるが、金利が高めに設定されることが多い
- ・保証料は「一括前払い」と「金利上乗せ」の2種類があり、どちらが得か比較が必要
- ・フラット35(長期固定金利)では保証料が不要なプランもある
団体信用生命保険料(団信)について

出典:日本経済新聞(団体信用生命保険とは 入れない病気など要チェック)
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン契約者が 万が一死亡または高度障害状態になった場合、ローン残高を保険で完済する制度です。
ほとんどの住宅ローンで加入が必須となっており、「金利に含まれるタイプ」と「別途支払いタイプ」 があります。
団信の種類と相場
団信の種類 | 特徴 | 保険料の目安 |
---|---|---|
一般団信 | 万が一の際、住宅ローンの残債を全額返済 | 金利に含まれるケースが多い |
ワイド団信 | 健康リスクのある方でも加入可能(割高) | 金利が+0.2~0.3%上乗せ |
がん保障付き団信 | がんと診断された場合も残債をゼロに | 金利が+0.1~0.3%上乗せ |
ポイント
- ・一般団信は無料で付帯されることが多いが、保障範囲を広げると金利が上がる
- ・健康状態によっては、加入できない場合があるため、事前の確認が必要
- ・金利に含まれるタイプなら、月々の支払いに分散されるが、総支払額が増えることもある
注文住宅の取得後に発生する税金・保険に関する諸費用

注文住宅を取得した後も、 固定資産税・都市計画税・火災保険・地震保険 などの支払いが必要です。
これらを見落とすと、想定以上のコストが発生するため、しっかり確認しておきましょう。
固定資産税・都市計画税
住宅を取得すると、毎年「固定資産税」と「都市計画税」が発生します。
計算方法と税率
税の種類 | 計算式 | 税率 |
---|---|---|
固定資産税 | 固定資産税評価額 × 1.4% | 1.4%(標準税率) |
都市計画税 | 固定資産税評価額 × 0.3% | 最大0.3% |
試算例(固定資産税評価額2,000万円の住宅の場合)
項目 | 計算式 | 税額 |
---|---|---|
固定試算税 | 2,000万円 × 1.4% | 28万円/年 |
都市計画税 | 2,000万円 × 0.3% | 6万円/年 |
合計 | – | 34万円/年 |
注意点
- ・新築住宅には軽減措置があり、一定期間固定資産税が半額になる(※条件あり)
- ・都市計画税は、都市計画区域内の住宅のみ適用されるため、事前に確認を!
火災保険・地震保険

住宅を災害から守るため、火災保険・地震保険 への加入が推奨されます。火災や地震の被害に備え、長期契約での加入が一般的です。
保険料の目安(10年契約)
保険の種類 | 補償内容 | 保険料の目安(10年契約) |
---|---|---|
火災保険 | 火災・落雷・風災・水害など | 20万~40万円 |
地震保険 | 地震・津波・噴火による損害 | 10万~30万円 |
知っておきたいポイント
- ・火災保険の保険料は、建物の構造や立地で変動する
- ・地震保険は火災保険とセットでしか加入できない
- ・長期契約ほど割引率が高く、保険料を抑えられる
注文住宅の諸費用を抑える3つのコツ

注文住宅の諸費用は、工夫次第で数十万円単位の節約が可能です。特に、仲介手数料や住宅ローン関連費用、補助金制度の活用がポイントになります。
節約方法 | 具体的な対策 | 節約の目安 |
---|---|---|
仲介手数料を抑える | 直接契約・手数料無料の不動産会社を利用 | 50万~100万円 |
住宅ローン費用を節約 | 保証料無料のローンを選び、融資手数料を比較 | 60万~100万円 |
補助金制度を活用 | ZEH補助金・グリーン化事業を利用 | 最大100万円以上 |
ポイント
- ・事前の情報収集と比較検討を徹底することで、数百万円単位の節約も可能
- ・補助金は申請時期が決まっているため、早めにチェックすることが重要
注文住宅諸費用のまとめ
注文住宅を建てる際、建築費以外に諸費用が総額の10%~15%かかります。土地購入・建築工事・住宅ローン・税金・保険などが含まれ、事前の把握が重要です。
諸費用を抑えるには、仲介手数料を削減・ローン契約費用を見直し・補助金制度を活用することが効果的です。適切な計画を立てることで、数百万円単位の節約も可能になります。
無理のない資金計画を立て、理想の注文住宅を実現しましょう!